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コンセプトの作り方(考え方)をAKB48の事例を通して学ぶ。

 
コンセプトの作り方(考え方)をAKB48の事例を通して学ぶ
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落合えいた
職業:ゼネラルマーケター(ゼネラリスト×Webマーケター)。特定の分野・スキルに依存せず、マーケティングの原理原則に基づいたビジネスを実践。現在は、Webマーケティングを軸に、世の中の『価値の総量』を上げていくことを追い求めています。
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こんにちは、落合です。

今日は『コンセプトの作り方(考え方)をAKB48の事例を通して学ぶ』というタイトルについてお話してみたいと思います。

まず、僕はアイドルにめちゃくちゃ詳しいわけではありません。

でも『AKB48』は流石に知っています。

いやまぁ、今の時代にAKB48を知らない人の方が珍しいですし、アイドルに詳しくない人にも認知されるぐらい影響力が半端ない存在です。

ただし、中にはAKB48をよく思わない人(嫌いな人)がいて、

  • 「何でAKB48が売れてるのか意味わからん!!」

という意見を持っている方も少なくないと思います。

確かにアイドルって見た目や気品が重視されたりしますので、外見要素が自分の感性と合わないと『何で売れてるのかわからない』という話になってきます。

まぁ、あれだけアイドルがいて、自分の感性に合わない人が1人もいないってある意味奇跡ですけどねw

落合

しかし、売れてる理由を分析する上で外見要素を追求してもしょうがないです。だって、感性や価値観は人それぞれですからね。

AKB48が売れてる理由というのは様々な角度から考察できるのですが、今回は『コンセプト作り』の理解を深めるためにもマーケティング的な視点を取り入れて解説してみたいと思います。

ちなみに、コンセプト自体の意味や本質については『コンセプトとは何か?わかりやすく意味や具体例を交えて徹底解説』にて記載していますので、まずはこちらからご覧ください。

1.ビジネスで成果を上げる方法を『一言』で表すなら

まず、AKB48のビジネスモデルを分解する前に、

  • 「ビジネスで成果を上げるならこれだけは押さえなければならない」

という大事な要素をお伝えします。

その大事な要素とは『価値提供』です。

極論、ビジネスは『価値提供さえ』やっていれば結果が出てしまうものなんですね。

1-1.そもそも『価値』とは何か?

価値提供とはそのまま『相手(読者)に価値を提供する』という意味になります。

ただし『価値』と一言でいっても非常に多くの意味を含んでいますので、これが中々、曖昧なものといえば曖昧な存在です。

そこで、僕の方で『価値』を定義してしまいます。

要するに『価値』とは、

  • 「誰か(who)の役に立ち、悩みを解消するもの」

ということです。

『価値』が誰か(who)の役に立つという意味なので、自分にとって役に立つ情報だったとしても他人からしてみたら役に立たず、『価値』を感じない可能性があるのです。

例えば、僕はジブリが好きで、シリーズの中に嫌いな作品は1つもありません。

僕は特に【天空の城 ラピュタ】が好きなんですが、これは僕がラピュタを観て『面白い!』『楽しい!』と感じているからこそ僕はこの作品に価値を感じています。

しかし、人の感性というのは冒頭でも触れた通り様々です。つまりラピュタを観ても『面白い!』と思わない人だっているのです。

そういった人々からしてみたら、ラピュタを観ても役に立たないし、自分の悩みを解消するものでもないので『価値』を感じないという結論になります。

このように『価値』というのは絶対的に決まったものではなく、その多くは相対的(客観的)に決まるものなんです。

そしてよくビジネスの世界では、『砂漠で水を売れ』なんていう表現がされることがあります。

コンセプトの作り方(考え方)をAKB48の事例を通して学ぶ

これは有名な言葉なので説明不要かもしれませんが、『砂漠で水を売れ』という表現が『価値』を説明する上では非常にわかりやすいです。

例えば、大都会に住んでいて喉が潤っている人に水を渡しても別に大きな『価値』は生まれません。

しかしこれが大都会ではなく砂漠と仮定してみます。

太陽がサンサンと眩しく、身体中の水分が蒸発して、喉もカラッカラで今にも干からびてしまいそうな状態です。

そんな極限状態の時に、奇跡的に砂漠のど真ん中で水を販売している行商人と立ち合ったら、あなたは自分がどんな行動を取るのか想像できますか?

恐らく僕だったら手持ちの全財産をはたいてでも水を買います。無我夢中で買い占めます苦笑

現金で100万円を持っていたら、余裕で全額出してでも目の前の水を買うことでしょう。

つまり既に喉が潤ってる人に水を売ったところで全然売れませんが、喉がカラカラの人であれば水は飛ぶように売れるというわけです。

これが『価値』の基本的な概念であり、『価値』が相対的に決まる理由でもあります。

1-2.なぜ、価値提供することで成果が出るのか?

なぜ、価値提供することで稼げるようになるのでしょうか?

これに関しては様々な要素が絡み合うので一概に正解を導き出すことはできません。

が、1つ言えることとしては「信頼残高が貯まるから」と表現ができます。

信頼残高というのは、相手に対して価値提供した分だけ貯まる目に見えない信頼の数値です。

例えば相手に価値を提供することができたら、

「この人は面白い!もっともっと話を聴きたい!」

と相手からの自分に対する信頼値がグングン上昇していきます。

こういった『信頼』というのは抽象的な世界の話なので、肌で理解するのは少し難しい概念にはなってきます。

しかし、価値提供することで目に見えない信頼残高が貯まっていくのは事実です。

そして、その信頼残高が貯まった分だけ、お金が受け取れるという仕組みに今の世の中はなっています。

ちょっと前にキングコングの西野亮廣さんが執筆した『革命のファンファーレ』でも信用経済について言及されていました。

コンセプトの作り方(考え方)をAKB48の事例を通して学ぶ

引用出典:https://ameblo.jp/nishino-akihiro/entry-12351160186.html

信用経済とは相手(お客様)に価値提供し、信頼残高を貯めていくことで経済が回る仕組みのことです。

なので、現代ビジネスでお金を稼ぐためでしたら、何よりも先に価値提供しなければなりません。

結局のところ、抽象世界に貯まった信頼残高が、物理世界(三次元)に降りてきて目に見える形として具現化したモノが『お金』と捉えられるのです。

図に表すと、以下のような感じ。

コンセプトの作り方(考え方)をAKB48の事例を通して学ぶ

上の図が信用経済の大枠になります。

つまり自分経由で『10万円の商品』が売れたとしたら、既に顧客に対して『10万円分の価値を”提供できていた”』という解釈が成り立つわけです。

ちなみに、この”提供できていた”という部分が非常に大事。

なぜなら相手(読者)に価値を提供していないのにお金を貰おうとしても相手は商品に対してお金を払わないからです。

いや、お金を『払わない』のではなく、正確に言えば『払えない』のです。

なぜなら、信頼が貯まっているからこそ顧客は商品やサービスに対してお金を払うのであって、信頼を貯めていない段階で『俺に金を払え!』『この商品を買ってくれ!』と言っても無駄という話だからです。

ここを理解していないと、自分勝手なビジネスを永遠と繰り広げ続けることになります。

自己満足ではビジネスは成り立ちません。しっかりと相手の立場に立ってビジネスをやっていくのが成果を出すために重要と言えるでしょう。

2.価値提供から見たAKB48のビジネスモデル

そして、ここで少なからず、

  • 「わかった!AKBが売れてる理由は価値を提供できているからだ!!」

という結論に至る方もいるはずです。

はい、正解です。文句のつけようが1ミリもないほどの大正解です。

そうなんですよね!

AKB48が売れてる理由は、ファンに対して価値提供がしっかりとできているからなんです。

価値が提供できているからこそ、あれほどのファンを獲得できていますし、グッズやCDの売上も爆発的な数値を叩き出せるのです。

だって今の時代に100万枚のCDを売り上げるんですよ?

これは本当に『意味不明なレベル』です。

AKB48の商法はCDに握手券を付けて売ったりするなど、そのビジネスモデルに対して批判を受けたりしています。

しかし実際問題、100万枚のCDを売り上げるためには、

  • 「100万枚を売り上げるだけの信頼残高を貯めておく必要がある」

という事実が必ずあるため、この事実を押さえずして、ビジネスモデルを批判することは絶対にできません。

つまり、それだけAKB48は顧客(ファン)に対して、日頃から価値を提供しているということです。

コンセプトの作り方(考え方)をAKB48の事例を通して学ぶ

しかし、ここで単純に『価値を提供しているからAKB48は売れている』と判断をくだしても、隠された細部の戦略(マーケティング)が見えてこなかったりします。

それにAKB48もシンプルに価値提供をしているわけではなく、

  • 「今の時代を反映した(適した)最高のビジネスモデル」

を体現しているといっても過言ではないのです。

というわけで、冒頭で触れた本記事のテーマでもある

  • 「コンセプトの作り方(考え方)」

を深く理解するためにも、

  • 「AKB48の裏に隠されたマーケティング戦略」

についてビジネルモデルを分解して、解説していきたいと思います。

3.AKB48のビジネスモデルを分解して、コンセプトを紐解く

最初にお伝えしておきますが、4P分析やらSTP分析などといった難しいマーケティング用語を使うことはしません。

特に専門用語を使わずにビジネスモデルを分解していきますので、肩の力を抜いてお読みください。

まず、ビジネスをやる際には個人も企業も大まかな流れはほとんど一緒です。

その大まかなビジネスの流れとしては『集客→教育→販売』という形になります。これが大前提です。

逆に3つの要素の中で1つでも抜けていたら、恐ろしく売上が出ません。

簡単に3つの要素を説明すると、

  • 集客:アクセスを集めて、
  • 教育:相手に価値を提供し、信頼度を上げて、
  • 販売:信頼度が上がった段階でオファーする

こんな感じですね。

このように「集客→教育→販売」といった一連の流れをDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)といって、Webマーケティングをやっている人ならば必ず辿り着く戦略になります。

いきなり、マーケティング用語使ってしまいました・・・スミマセン笑

落合

Webマーケティングを活用すれば、個人でもリスクなくできる起業することができ、DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)を使うことによって月収数百万という金額も稼ぎ出すことが可能です。

DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)の基本的な戦略に関しては『DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)の基礎戦略や事例を超わかりやすく解説』こちらの記事も参考にしてみてください。

そして、実際にAKB48のビジネスモデルも大きく分解してみると『集客→教育→販売』になるのです。

3-1.AKB48における「集客」

では、AKB48における『集客』について見ていきましょう。

AKB48の集客先(アクセス集め)というのは大きく分けて2つあります。

それが『テレビ』と『YouTube』です。

テレビ自体は昔ほどの影響力は無くなってきていると言われていますが、メディアの王様と言われる実力はまだまだ健在。

スポンサー料も年々上がってきているので、実はテレビの影響力というのは過去最大規模になっていたりします。

そして何より音楽番組やバラエティ番組に出るだけで注目度が増すので、それがアクセス集めに直結するわけです。

そして、AKB48にとってテレビと同じぐらい強い影響を持つ集客媒体が『YouTube』です。

AKB48はYouTubeに公式チャンネルを持っており、いつでも彼女たちの楽曲を聴けたりします。

YouTubeも今や国内で5000万人以上が利用するモンスターメディアの仲間入りを果たしており、ここで人気に火がついて影響力を持っていく人は多いです。

つまるところ、AKB48の集客先は大きな括り(くくり)で言うと、『テレビ』と『YouTube』になるのですね。

3-2.AKB48における「教育」

続いて『教育』に入ってきます。

教育というのは、あまり聞き覚えがない言葉だと思いますが簡単に言いますと、価値を提供して、自分の信頼度を上げることを指します。

では、AKB48はどんな価値提供をしてファンに対し、『教育』を行っているのでしょうか?

実はこれは先ほど、集客先として挙げた『テレビ』と『YouTube』が教育も兼ね備えていたりするのです。

例えばテレビなら音楽番組で歌っている姿を見せたり、ドラマに出て演技をしている姿を見せることで、

  • 「アイドルってすげぇ。なんか、もっと知りたいな・・・」

という感情を人々に抱かせることができます。

そして、YouTubeならAKB48の曲をいつでも聴くことができるので、常にアイドルを身近に感じることができるのです。

特に音楽はYouTubeで何度も聴くことができますし、通勤中や勉強中など、空いてる時間であれば常にイヤホンで耳に流すことができます。

ちょっとこれは心理学的な話になりますが、人間というのは接触回数が多ければ多いほど、相手を信頼する傾向にあるのです。

これをザイオンス効果(単純接触効果)といって、ビジネスシーンにおいては頻繁に取り入れられてる行動心理学の一種になります。

加えて、AKB48の公式チャンネルには『ドキュメント要素』を含んでいる動画もアップロードされているのですが、これが教育としての効果が非常に高いマーケティング戦略になるのです。

例えば以下のような動画がドキュメントに当たります。

これは公式チャンネルの方でアップロードされているものなので、当然誰もが視聴することができます。

で、こういった現場の裏側とも言うべき動画を観ることで『感情的価値』を僕たちはそこに見出すようになるのです。

感情的価値というのは、感情や情緒に訴えかける価値のことを言います。

反対に、インターネットビジネス特有の実績やスキルなどは『機能的価値』と言われますが、機能的価値に関してはあくまで『機能』であって最終的にハイスペック勝負になります。

月収100万円の実績よりも、月収1000万円の方が魅力的に映るのが当然であって、機能的価値を追求してしまうとスペック勝負になってしまいライバルと差別化を図るのが困難になってしまうのです。

しかし、感情的価値というのは感情や情緒に訴えかける価値提供を指すので、ハイスペック勝負に持ち込まれることはありません。

なぜなら感情や情緒というのは人それぞれ受け取り方・感じ取り方が異なり、その人(グループ)にしか出せないオーラを放てるからです。

感情的価値を追求することで、ライバルを度外視にして、自ら作り出した市場でファンを独占することができるようになります。

例えば先ほどのドキュメント動画もそうですが、これって機能的価値を追求しているものではありません。

レッスンの風景やレッスンを受けている時の喜怒哀楽の表情、そしてダメだった時に『悔しい』という感情をカメラにぶつけるなど。

『AKB48』のコンセプト(世界観)がそこには映し出されています。

こういったAKB48のコンセプト(世界観)や雰囲気に人々は感動し、彼女たちをもっと応援したい!という気持ちが湧き起こるのです。

実際、上の動画を観るだけでも、

  • 「ちょっと今まで偏見を持ってたけど、興味が湧いてきた」
  • 「これの第1回とかも観てみたいな。」

って思う人は少なからずいるはずなんですよね。

それは『AKB48』が単純な顔の可愛さやスタイルの良さなどの機能的価値から視点をズラし、アイドルとしてのひたむきな姿勢や『AKB48』として歌うことへの思い(気持ち)といった感情的価値をファンに思いっ切り見せているからです。

つまり、これがAKB48の『教育』となるわけです。

3-3.AKB48における「販売」

さてさて、集客→教育と来たら最後は『販売』ですね。

実際、AKB48の販売は様々にあります。

少し列挙すると、

  • グッズ
  • CD(握手券付き)
  • 劇場公演
  • コンサート

などまだまだ販売手段はありますね。

ただし、先ほどの『教育』の段階で既にファンはAKB48に対して強烈な興味を抱いている傾向にあるので、ちょっとしたグッズなら惜しまずにお金を払います。

これは教育の工程で、ファンは既にAKB48から大きな価値を貰っており、信頼残高が貯まりまくっている状態だからこそ、ポンッとお金を出せるのです。

むしろ、ファンからしてみたらAKB48から自分の器に貯められる以上の価値を受け取っているので、

  • 「彼女たちにお金を払いたい!」

という欲望すら持ち合わせていることも考えられます。

この状態は今回の記事でも例として取り上げた『砂漠で水を売る』の状態に等しいです。

要するに、お金を払いたい気持ちで溢れているファンがいるので、そこに水(グッズ、CDなど)を売るような形になります。

これほどまでにファンを魅了することができるのは、AKB48が『教育』の段階でしっかりと価値提供しているからです。

結局のところ、『販売』を最大化するためには教育の段階で8割方、勝負が決まってしまうわけです。

実際、Webマーケティングを活用して成果が出せない人の多くは、集客や販売に力を入れすぎて教育が全然できていないことにあります。

でも、本来は『教育こそに』力を入れるべきなんです。

それは僕が今まで話して来た通り、売上に直結する販売という段階で最大限のパフォーマンスを発揮するためには教育を挟み込んで価値を提供しておく必要があるからです。

さて、ここまでがAKB48における『集客→教育→販売』の大まかな解説になります。

個人でインターネットビジネスに取り組んでいる人にとっては、AKB48のような巨大なビジネスは別個の存在だと思っているかもしれません。

しかし、集客・教育・販売と分けると、個人で行うインターネットビジネスもAKB48も本質的には同じビジネスモデルです。

別個の存在として分けるのではなく、学べるところは学ぶという姿勢を持っていると、今回の話だけで圧倒的に売上を上げることだって可能になります。

では、AKB48の基本的なビジネスモデルを分解したところで、続いてはAKB48が売れた『最大の要因』について見ていきたいと思います。

4.AKB48が売れた最大の要因

AKB48が売れた最大の要因を一言で表すと、

  • 「ビジネスモデルやコンセプト(世界観)が時代にマッチしていたから」

という結論になります。

もう芸能界を引退していますが、お笑い芸人に『島田紳助』さんという方がいます。

紳助さんが後輩のお笑い芸人の前で『お笑いとは何か?』というテーマで講義をした映像があります。

YouTubeに残っているかどうかわからないのですが、題名は『お笑いの教科書』です。

この『お笑いの教科書』の中で紳助さんは、芸人として売れるための戦略について話しているパートがあります。

紳助さんが語った売れるための戦略を簡潔に言うと、

  • 「X軸とY軸を分析すること」

になります。

ここで言う、X軸とは『自分が持っている戦力(スキル)』、Y軸とは『世の中(時代)のお笑いの流れ』になります。

この2つの軸を合わせることで、売れるお笑い芸人になれると紳助さんは話しているんですね。

そして、紳助さんが語ったX軸Y軸の話はほぼ全ての業界や分野で当てはめることができる成功法則になります。

例えば、これをアイドル業界に置き換えてみましょう。

AKB48が売れる前の人気アイドルグループといえば『モーニング娘。』が挙げられます。

モーニング娘。もアイドルグループという枠組みではAKB48とほとんど変わらないです。

しかし、両者のグループには決定的な差があります。

その差とは『不完全か否か』ということです。

モーニング娘。は完成されたアイドルグループであり、ファンとの間には距離があって、高嶺の花のような存在でした。

しかし、AKB48は完成されたアイドルグループではありません。

メンバーはコロコロ代わりますし、今までのアイドルのように高嶺の花というよりは、ファンとの距離が非常に近いアイドルグループです。

それに、メンバー1人1人がクローズアップされやすく、それぞれに物語(ストーリー)があります。

人は物語(ストーリー)が好きな生き物なので、たった1人のメンバーにでも共感することによってその人を好きになるのは勿論のこと、いつの間にかAKBというグループ自体を好きになっていくのです。

たった1人を好きになることで所属するグループ自体を好きになることは日常生活においてもよくあります。

例えば、漫画でも孫悟空が好きで観ていたらいつの間にかドラゴンボール自体を好きになったり、iPhoneを使っていたらいつの間にかApple社が好きになっていたり、と。

AKB48もこんな感じで1人のアイドルを好きになることで、AKB48全体の利益に繋がることがあるのです。

そしてAKB48はメンバーがコロコロ代わったりするなど、統一感が無いような感じもしますが『AKB48全体の世界観(コンセプト)』を持っています。

つまりどんなにメンバーが変わろうと、グループ全体の世界観を損なうことはないので、不完全さの中にも一貫性があるわけです。

要するに、AKB48が売れた理由をX軸Y軸に当てはめると、

  • X軸:「AKB48が持っている戦力(スキル)」
  • Y軸:「完成されたものを魅力に感じる時代から、不完全さに魅力を感じる時代の流れ」

が見事にマッチしたからこそ、爆発的な影響力を持てるようになったのですね。

5.AKB48から学ぶコンセプトの作り方(考え方)

コンセプトの作り方(考え方)をAKB48の事例を通して学ぶ

では、ここまでを踏まえて、コンセプトの作り方(考え方)を解説していきます。

それと冒頭でもお伝えしましたが、コンセプトの基本戦略については『コンセプトとは何か?わかりやすく意味や事例を徹底解説』で記載していますのでこちらで深く学ぶことが可能です。

どちらかと言えば、今回の記事は上で紹介したコンセプト作りの発展編(応用編)になりますね。

それでは、コンセプトの作り方について見ていきましょう。

5-1.心を動かすコンセプトとは?

コンセプトを作っていくのがビジネスを成功させる上での基本になるのですが、単純にコンセプトを作ったところで相手の心に響くことはありません。

なぜならコンセプトを作るだけなら誰でもできるからです。人は『希少性』を求める生き物であり、その他大勢に分類されるものは『普通』と捉えます。

このように物事が一般化されていく現象を『コモディティ化』と呼ぶのですが、コンセプトがコモディティ化されては、相手の心を動かすことはできないのです。

つまりコンセプトがありきたりでは、顧客に響くことがないわけです。

そのため、相手の心を動かすコンセプトにしていくためには、

『どんな理想の世界を見せていくか?』

ということが重要になるのですが、これはコンセプトを考える上で超重要なポイントになります。

では、AKB48が打ち出す『理想の世界』とは一体どんな世界だと思いますか?

スパッと言ってしまいますが、AKB48には大きく分けて2つのコンセプトがあります。

それが、

  1. 会いに行けるアイドル
  2. 成長を応援するアイドル

上の2つの柱があるのですが、これがAKB48が顧客に見せている『理想の世界』になります。

5-2.AKB48が見せる理想の世界

まず1番目の『会いに行けるアイドル』です。

正直、今では人気が出すぎてしまってこのコンセプトは消えかけているのですが、AKB48のデビュー当初は革新的なコンセプトでした。

AKB48以前のアイドルと言えば、モーニング娘。など『手の届かない高嶺の花』のような存在です。

要するに、それまでのアイドルは簡単に会いに行けるようなものではありませんでした。

実際、アイドルを見ることができるのもテレビの中や遠い位置のコンサートに限定されていたので、アイドルとお客さんとの距離は非常に遠かったのです。

そんな従来のアイドル像とは真逆の形で秋元康さんがプロデュースしたのがAKB48になります。

秋元さんは、それまで高嶺の花だったアイドルという存在をまるで下界に降ろすかのように身近な存在にして、いつでも会いに行けるようなアイドルとしてAKB48を売り出したのです。

実際に今でも人気メンバーが全国各地で握手会に参加していたりするので、そこも従来のアイドル像とは異なりますね。

これらが見事に時代の潮流にマッチして、AKB48は瞬く間に売れていきました。

つまり、1番目のコンセプトから導ける理想の世界とは、

「アイドルが身近な存在になった世界線」

になるわけです。

続いて、2番目のコンセプトの『成長を応援するアイドル』ですが、これは今でも顕在で強力なコンセプトとして成り立っています。

実際、この記事でも少し触れたのですが、AKB48はテレビやYouTubeなどを通して彼女たちの成長物語を垣間見ることができます。

一人一人が成長していく姿をファンは見ることができるので、応援する気持ちが湧き上がってくるわけです。

そして、そんなファン達にとっての一大イベントが『総選挙』になります。

めちゃくちゃ余談ですが、上の公式動画がかなりユニークなので一度見てみると色々と気づきがあると思います。

落合

総選挙が開催される場合、自分が応援してきたアイドルの順位を少しでも上げようと、握手券付きのCDを買って投票するので、まさに『成長を応援するアイドル』というコンセプトが活きてきます。

特に総選挙における投票というシステムが画期的。

自分一人の力でアイドルの順位を押し上げるわけではないので独占欲は深く満たされませんが、応援しているファンの一人として目当てのアイドルの順位に貢献できるだけでも喜びを持つことができます。

またアイドルやタレントというのは、その人の実力が非常に大事なんですがそれ以上に、裏にいるプロデューサーの存在がかなり大きいです。

タレントに実力があっても、裏の存在(スタッフ、プロデューサーなど)とかに邪険にされていたら大手メディアに出るのは難しくなりますからね。

なので、プロデューサーがタレントを作っていくと表現しても間違いではないのですが、AKB48の場合はプロデューサーにプラスして『ファンも一緒になって』アイドルの成長を後押しすることができます。

つまり、ファンがアイドルの成長に貢献できるということは、顧客の日常の中にアイドルを住まわせることができるようになります。

『ザイオンス効果を恋愛やビジネス(マーケティング)に応用する方法』でも解説した通り、人は接触頻度が多ければ多いほど相手を信用する生き物なので、日常の中に溶け込ませるのはマーケティング的にも相当有効な戦略だと言えます。

つまり、2番目のコンセプトから導ける理想の世界とは、

「ファンがアイドルの成長を支援できる世界線」

という従来のアイドル像では決して実現できなかった、シミュレーションゲームのような感覚を現実の世界で再現したのです。

つまりまとめると、AKB48のコンセプトから紐解けるのが、

「アイドルを身近な存在に進化させ、ファンがアイドルの成長を支援できる環境」

という理想世界を顧客に見せているということになります。

AKB48が強烈なコンセプトを掲げ、一気にアイドル業界の頂点を取れた理由がここにあるわけですね。

5-3.響くコンセプトの作り方(考え方)とは?

では、最後に響くコンセプトの作り方(考え方)を解説しますが、まず大前提としてコンセプトの土台となる『理念』をしっかりと決めておくのが重要です。

理念を基に作り出すのがコンセプトであり、理念なしのコンセプトではビジネスを長期的に続けていくのは難しいのです。

理念についての話は『コンセプトとは何か?わかりやすく意味や事例を徹底解説』でも説明してますので参考にしていただければと思います。

今回の記事でAKB48のビジネスモデルにおける『教育』の部分で、機能的価値と感情的価値の話を出しました。

2つの価値については前述してきたので、確認しておいてください。

で、実はさらに深い話をさせていただくと、価値には機能的価値と感情的価値以外にももう一つ価値が存在します。

この3つ目の価値があるからこそAKB48は人気になり、人に響くコンセプトも作れているのです。

そんな3つ目の価値が『自己表現的価値(自己本質的価値)』と言います。

5-3-1.自己表現的価値を使ってコンセプトを作る

実際、機能的価値や感情的価値を知ってるビジネス実践者は多くいますが、自己表現的価値まで押さえてる方は少ないのでここを押さえるだけでも一気に突き抜けられます。

自己表現的価値と聞くと難しそうに聞こえますが、これまで散々語ってきた『世界観』がそのまま自己表現的価値になります。

独自の世界観を演出して、顧客にとっての『理想』を体現していくのが大事なんですが、要するに、

  • 「自分もあんな存在になりたい!」
  • 「〇〇だから買いたい!」
  • 「〇〇さんが書く小説だから読みたい!」

のように『〜したい』という思いを駆り立てられるのが自己表現的価値であり、実際にこれが扱えるようになると何をやっても上手くいくようになります。

例えばAKB48もある種、顧客にとっての『理想』を演出しているから響く人にはとてつもなく響き、『AKBだから』というそのたった一つの理由だけで自動的に選ばれるようになるのです。

あとは、任天堂のマリオとかも自己表現的価値がありますので、一部の顧客にとってはどんな内容の商品であっても『マリオだから買う』みたいな判断をすることだってあります。

つまり顧客にとっての理想を作り出し、『世界観』を演出することができれば顧客から唯一無二の存在と判断され、強力なコンセプトを作っていくことができるわけです。

ただし、

いきなり、『世界観』とか言われてもそんなの作れないよ…

Mr.ネコ

と悩んでしまう人が出てくると思われます。

そういう時に大事なのは『とにかく、何も決まってなくても行動してみる』ことです。

これはちょっと強引な感じがしますが、実際に行動に移さないことには何も始まらないのが正直なところです。

もちろん、今まで話してきたように『世界観』とか『理念』というのが大事なんですが、それを見つけられないままズルズルと時間が過ぎていっても勿体ない。

だから、『やりながら知識を吸収して学んでいく』という選択を取るのが一番効果的なんですね。

何事も行動しないことには始まりませんので、コンセプト作りで迷っている方がいましたら、ぜひ行動することを意識してみてください。

まとめ

今回はコンセプト作りの垣根を越えて、ビジネスで結果を出していくための根本的な要員まで話しました。

ビジネスを学んでいく上で、既に結果が出てる商品・サービスを研究するほど大きな学びを得られるものはありません。

そこで今回は『AKB48』というスーパーアイドルを中心にコンセプト作りについて書いていったわけですが、他にも分析できる対象は山ほどあります。

なので、既に世に出てる人気のものを独自で研究して、エッセンスを抽出していくのはおすすめです。

その抽出したエッセンスを自分のビジネスなり仕事なりに活かすことで、大きな結果に繋がりやすくなります。

実際、この記事に買いてあるAKB48のことだって、ビジネスモデルのほんの一部でしかありません。

まだまだ学ぶべきところは多くあるので、色々と調べてみると面白いと思います。

それでは、今日はこの辺で!

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落合えいた
職業:ゼネラルマーケター(ゼネラリスト×Webマーケター)。特定の分野・スキルに依存せず、マーケティングの原理原則に基づいたビジネスを実践。現在は、Webマーケティングを軸に、世の中の『価値の総量』を上げていくことを追い求めています。
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