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プロスペクト理論を身近な例を用いて解説!マーケティングに応用するには?

 
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落合えいた
職業:ゼネラルマーケター(ゼネラリスト×Webマーケター)。特定の分野・スキルに依存せず、マーケティングの原理原則に基づいたビジネスを実践。現在は、Webマーケティングを軸に、世の中の『価値の総量』を上げていくことを追い求めています。
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こんにちは、落合です。

今日は『プロスペクト理論を身近な例を用いて解説!マーケティングに応用するには?』というテーマで書いていきたいと思います。

まず、今回お話していくプロスペクト理論は投資家の間でよく使われる心理学であって、FXや株で生計を立てている人であるならば必ず押さえておくべき心理効果だと言われています。

実際、僕もFXや株は少しだけかじったことがありますが、確かにプロスペクト理論を知っていないと投資で負けます。

プロスペクト理論を学んでいなかった頃の僕が投資に手を出したら多額の損を出しました。

要はそれぐらい投資界隈ではプロスペクト理論の重要性が説かれているのです。

しかしプロスペクト理論は何も投資界隈だけではなくて、ビジネスの世界を渡り歩いて行くためにも必須の心理学になります。

そのため今回は、

●プロスペクト理論って何?
●プロスペクト理論の身近な例を知りたい!
●プロスペクト理論をビジネス(マーケティング)に活かすためには?

と思っている方に向けて書いていきたいと思います。

1.プロスペクト理論とは?

プロスペクト理論と聞くとお堅い心理学なのかと思われがちですね。

しかし中身は非常に単純で、『人間は損をしたくない感情を持っている』という解釈がプロスペクト理論の意味になります。

例えば、

  • A:コインの表が出たら100万円貰える
  • B:コインの裏が出たら−100万円

という2択のゲームを迫られたら、殆どの人がBの結果を恐れて『ゲームに挑戦しない』という結論になるのです。

つまり『100万円を貰えるチャンス』と『100万円を失う損失機会』を天秤に掛けたら、失う損失機会の方が遥かに人間にとっては恐怖なんです。

得をすることよりも、何かを失う感情の方に恐怖するのがプロスペクト理論の本質になります。

プロスペクト理論を身近な例を用いて解説!マーケティングに応用するには?

実際、人間を突き動かす最も強力な感情は『恐怖』です。

恐怖があるからこそ、人間はプロスペクト理論の通りに選択してしまうのです。

そして、プロスペクト理論はこのことから『損失回避バイアス』とも呼ばれています。

1-1.プロスペクト理論と損失回避バイアス

『損失回避バイアスってなんやねん。』という声が出ると思いますので解説していきます。

まず『損失回避』というのはその名の通りで損を回避するために行動を取ることです。

で、『バイアス』というのは傾向とか先入観といった意味になります。

つまり『損を回避する傾向にある』というのを一言で『損失回避バイアス』と呼んでいるわけですね。

なのでプロスペクト理論も損失回避バイアスも、意味は殆ど同じです。

どちらも結局は人間の『恐怖』が影響している人間心理だと言えます。

しかし、なぜこれほどまで人間は『恐怖』という感情に強く動かされてしまうのでしょうか?

その理由を説明していきましょう。

1-2.なぜ、人間は恐怖に動かされるのか?

人間が恐怖に動かされる理由は様々にありますが、ひとつは『原始の時代から受け継がれてきた本能』が関わってます。

例えば、太古の昔であれば人々は狩猟する時代であって、食べ物といえば動物を狩る・魚を獲る・木の実を採取する辺りしかありません。

つまり今の時代のように食べ物なんてそんな簡単に手に入らないわけです。

いつ食べ物が底を尽きるのかわかりません。

狩猟中に逆に自分が危険な状態になることだってありますので、常に『恐怖』が傍にあったのです。

だからこそ今の人々にも本能的に恐怖から逃げるプログラムが脳内に組み込まれているわけです。

2.プロスペクト理論の「身近な例」

プロスペクト理論を身近な例を用いて解説!マーケティングに応用するには?

では、ここまでプロスペクト理論の概要を説明してきました。

今度はプロスペクト理論のイメージを深めてもらうために、身近な例を使って解説していきたいと思います。

2-1.彼氏(彼女)と別れたくない心理

カップルもずっと関係を保てる組もあれば、恋愛関係が破綻する組もあります。

この時に好きの感情が薄れているけど彼氏(彼女)と別れたくないという何だか矛盾した感情を持つ場合があるのですが、これがまさしくプロスペクト理論です。

彼氏(彼女)と別れるという事実は『損』以外の何者でもありません。

だからこそ『損をしたくない!』というプロスペクト理論が働き、彼氏(彼女)と別れたくない感情が出るのです。

誰もが一度は恋愛をしたことがあるはずですが、そこにおいてもプロスペクト理論は働いているわけです。

2-2.スーパーのタイムセール

プロスペクト理論を身近な例を用いて解説!マーケティングに応用するには?

スーパーのタイムセールもプロスペクト理論が働く身近な例のひとつと言えます。

タイムセールというのは、『緊急性』および『限定性』を煽るセールステクニックです。

タイムセール中だけ商品が安くなるので『この状況を逃したら値段が高くなる!』と消費者側は焦ってしまいます。

緊急性や限定性はもろに人間の恐怖に働きかけるセールステクニックなので、スーパーのタイムセールもプロスペクト理論の例だと言えます。

2-3.FXや株式投資

プロスペクト理論を身近な例を用いて解説!マーケティングに応用するには?

さて、冒頭でも話した通り、プロスペクト理論はビジネス業界ではなく投資界隈の方で有名です。

そもそも、投資(FXや株)は自分との勝負な面が非常に強く、人間誰しも損をしたくない感情を持ち合わせています。

だからこそマーケットから逃げた方が良い状況が来たとしてもその場に残る選択を取る人が圧倒的に多いのです。

で、自分の状況が悪くなった時に例え損を出してでも撤退することを『損切り』というのですが、投資では損切りが出来るかどうかで全てが変わってきます。

なぜなら、早く損切りをしないと損失がどんどん膨れ上がっていき、結果的に大きなダメージを負ってしまうからです。

僕もこれまで結果を出している投資家をたくさん見てきましたが、それ以上に多くの脱落者も見てきました。

そんな多くの脱落者に共通してるのが『適切なタイミングで損切りができない』ということです。

事実、プロスペクト理論が影響して、損切りができない投資家は絶対に投資の世界で生き残っていくことはできません。

なのでFXや株式投資においてはプロスペクト理論に如何に打ち勝っていくかが重要なわけです。

 

というわけで、

  1. 彼氏(彼女)と別れたくない心理
  2. スーパーのタイムセール
  3. FXや株式投資

上の3つがプロスペクト理論をイメージするためにわかりやすい身近な例として解説してきました。

もちろん、他にも例がありますがここでは省略させて頂きます。

では、次にプロスペクト理論を実際にビジネス(マーケティング)に活かしていくための方法について説明していきましょう!

3.プロスペクト理論をマーケティングに活かすには?

プロスペクト理論をビジネス(マーケティング)に応用していく方法は様々にあります。

特に文章で人を動かしていく『コピーライティング』の分野に限って言えば、プロスペクト理論は非常に効果を発揮するのです。

そこで、今回はいくつか人を動かしていくために効果的なテクニックを紹介していきます。

3-1.限定性(緊急性)

これは先ほど、タイムセールの例でも出てきたのですが『限定性(緊急性)』というのは相手の恐怖を突く心理テクニックであり、もろにプロスペクト理論が働きます。

例えば、ネット上で販売している商品でよく見る光景が、

「定価3,980円のところ、先着100名様限定で1,980円!」

とかです。

こういった謳い文句は本当によく見ますよね。

限定性や緊急性を煽ることで『このチャンスを逃したら二度と安く手に入らない!』と消費者心理が働くため、商品が飛ぶように売れるのです。

実際、限定性は本当に強力な心理効果で、僕の友人起業家も思うような売上が出ていなかった時、限定性を演出しただけで売上が跳ね上がったと言います。

セールステクニックにおいて、限定性を演出するのは基本中の基本ですが、やはり無視できない心理効果なのは確実です。

3-2.権威性(社会的証明)

プロスペクト理論を身近な例を用いて解説!マーケティングに応用するには?

人は社会的に認められた人や権威者の言葉を素直に信じる傾向にあります。

よくある例としては、

  • A:ボロボロ服を来たおじさんが差し出す薬
  • B:綺麗な白衣を来た医者っぽい人が差し出す薬

という2つのパターンがあって『どっちの薬を飲みたいか?』という質問をした場合、9割以上の人は『B』を選びます。

白衣を来てる人は医者のような感じがして、専門家だと思い込み無意識に人は信じるのです。

これが『権威性(社会的証明)』になります。

で、権威性の特徴は『それっぽく見えればいい』という何とも投げやりな点があります。

つまり、例え医者じゃなくても医者に見えてれば人は信じる傾向にあるわけですね。

このように権威性を主張されると、『この人は専門家だから信用しないといけない!』とプロスペクト理論が働くのです。

実際、権威性を主張している謳い文句も様々な場面で見ます。

例えば、

  • 「今、SNSで話題!」
  • 「テレビで紹介されました!」
  • 「あの有名女優も使っている化粧品!」

といったセールス文句は全て権威性(社会的証明)を用いています。

権威性は限定性と同じく人の心を動かすテクニックとしてよく取り入れられているので、日常を見渡して見るのも面白いですね。

3-3.希少性

意味が少し限定性と似ているのですが、人間は『希少性』に惹かれる傾向があります。

希少性とは『需要が供給を上回ってる状態』のことを指すのですが、一言で言えば『珍しい』ということです。

例えば、任天堂が発売したゲーム機『Wii』は、爆発的に売れた商品となりました。

Wiiが売れた要因のひとつに希少性を取り入れらたことに挙げられますが、発売当時は月間生産台数を180万台に設定しました。

しかしこれだけでは供給量が全然足りず、Wiiは品薄状態が続いたのです。。

実は僕もWiiを発売当時に買いに行ったのですが、その時は抽選会が行われていました。

抽選会で当選しないと、Wiiを買う権利すら与えられない状況だったのを覚えています(ちなみに僕は当選して、めっちゃ喜びました笑)。

その後、Wiiは供給台数を巧みに操りつつ、販売台数を伸ばして行ったのですが結果的に『4,800万台』にまで達したのです。

このように希少性を操ることで、爆発的な利益を生み出せますし、個人だけではなく大企業でもガンガン取り入れられている心理テクニックになります。

3-4.全額返金保証

結局、プロスペクト理論は『損を回避したい欲求(≒損失回避バイアス)』という意味を含んでいます。

例えば、ダイエット商品を買う時でも、

「高いお金を出して痩せなかったらどうしよう、、、」

という思いが誰しも心の中にあります。

こういった損を出すことに恐怖を覚えている消費者にとって、最も有効なアプローチのひとつが『全額返金保証』という措置です。

ちなみに、全額返金保証はプライベートジムとして超有名な『ライザップ』でも取り入れられているセールステクニックになります。

プロスペクト理論を身近な例を用いて解説!マーケティングに応用するには?

引用出典:https://www.rizap.jp/lp/md-170823pc/

損失回避バイアスが人の心にあるからこそ、全額返金保証は有効に働くのです。

以上、ここまで見てきましたように、

  1. 限定性(緊急性)
  2. 権威性(社会的証明)
  3. 希少性
  4. 全額返金保証

上の4つがマーケティングの場面で有効に活用できます。

実際、プロスペクト理論は最も人間を強く動かす『恐怖』に焦点を当てた心理になりますので、その威力も相当なものです。

しかし、人の恐怖を煽ることばかりを考えていたら、必ずビジネスは破綻してしまいます。

なので、プロスペクト理論を扱う際の注意点を解説していきたいと思います。

またプロスペクト理論をビジネスに応用するのは結局のところ『人(相手)を動かしたいから』以外の何者でもありません。

人を動かすためにはテクニック以上に『本質』を見るのも大事です。

つまり『何を持ってして人は心を動かされるのか?』を理解するのが重要であって、そんな心を動かす方法論さえ押さえてしまえばあらゆる分野で成果を出していけます。

人を動かすことができさえすれば自分の提案がほぼ確実に通りますので、ビジネスでも商品が売れまくったりします。

そんな心を動かす本質的な話については『【人を動かす】から紐解く、心理テクニック要らずの人心掌握術』で詳細に解説してますので参考までにどうぞ。

4.プロスペクト理論は使い方を間違えると顧客を不幸にする

さて、ここまで解説してきたようにプロスペクト理論自体は人間の本質的な心理を突いたものになるので、マーケティングに活かすことが十分にできるのです。

しかし、プロスペクト理論は使い方を間違えてしまうと顧客を不幸にすることにも繋がってしまいます。

なぜなら、プロスペクト理論は人の『損をしたくない!』という感情を利用するものなので、顧客にとって必要ではない商品(サービス)まで売り込んでしまうことができるからです。

プロスペクト理論を身近な例を用いて解説!マーケティングに応用するには?

マーケティングへの応用の仕方のところでも説明したように、プロスペクト理論を元にテクニックを使えば商品を売り込むのはそこまで難しいことではありません。

しかし、難しいことではないからこそ安易に使うべきではないのです。

ビジネスは顧客に価値を提供することが絶対原則です。

価値提供の重要性については『AKB48から学ぶコンセプトの作り方』でも説明しましたが、粗悪な商品を売り込んでも顧客は幸せになりません。

むしろ顧客が商品を買った後、テクニックよって買わされた一連の魔法が解けると、『何で自分はこんなものを買ってしまったんだろう?』と冷静に判断されます。

そうした結果、クレームに繋がったりするのですね。

なので、プロスペクト理論は使い方を間違えると自分も相手も不幸にする諸刃の剣です。

今回はお話したプロスペクト理論の注意点をしっかりと押さえて、マーケティングに活かすようにしましょう。

まとめ

まとめに入りますが、プロスペクト理論は『損を出したくない』という人間の感情になります。

そして、人は損をしたくないからこそ『間違った判断をしたくない』とも思うのです。

ビジネスにおいて大事なのは『間違った判断をしたくない』という心理を活用して、顧客を『正しい判断に案内すること』です。

FXや投資ではプロスペクト理論を知らないと確実に負けますが、ビジネスにおいてもプロスペクト理論を知らないと顧客を動かしていくことは難しくなります。

なので、プロスペクト理論を学び自身のビジネスに活かしてもらえたらと思います。

ちなみに、僕はプロスペクト理論の他にも以下のような心理効果についても記事を書いています。

上の心理効果もビジネスシーンで役に立つものばかりなので、よければご覧ください。

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落合えいた
職業:ゼネラルマーケター(ゼネラリスト×Webマーケター)。特定の分野・スキルに依存せず、マーケティングの原理原則に基づいたビジネスを実践。現在は、Webマーケティングを軸に、世の中の『価値の総量』を上げていくことを追い求めています。
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